光線力学的療法用製剤 ベルテポルフィン(ビスダイン^【○!R】)の薬理学的特性および臨床効果
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概要
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ベルテポルフィン(ビスダイン®)は,特定波長のレーザー光線の照射により活性化される光線力学的療法(PDT)用製剤であり,中心窩下の脈絡膜新生血管(CNV)を伴う加齢黄斑変性症(AMD)に対して,本邦にて初めて承認された治療薬である.ベルテポルフィンは690 nm付近に吸収を示し,光照射により活性化され,フリーラジカルおよび一重項酸素を生成した.マウス細胞腫および腫瘍モデルに対して,至適波長の光照射によりベルテポルフィンは強い細胞障害ならびに抗腫瘍作用を示した.また,ウサギ角膜新生血管モデルにおいて,ベルテポルフィンは静脈内投与後速やかに新生血管へ選択的に移行するとともに,光照射により新生血管閉塞作用を示した.以上のことから,本剤の静脈内投与後,標的部位に光照射することにより,ベルテポルフィンが光活性化され生成する活性酸素等が新生血管を損傷・閉塞させることで有効性を発揮すると考えられた.なお,ベルテポルフィンは主に血漿リポタンパクのLDLに分布すること,ベルテポルフィン-LDL結合物を投与した場合に腫瘍組織内への移行性が高くなること,増殖性細胞においてLDLレセプター数の増大がみられることから,ベルテポルフィンは投与後,LDLへ移行することで,LDLレセプターを介して選択的に増殖性細胞へ蓄積するものと考えられた.サル脈絡膜新生血管モデルにおいて,投与量およびレーザー照射時期,照射出力等を限定することで,正常網膜等の近隣組織に対する影響を最小限にした選択的な新生血管閉塞作用を示した.AMD患者を対象にした国内第III相試験では,治療開始12ヵ月後におけるclassic CNV(フルオレセイン蛍光眼底造影にて観察される境界鮮明な強い蛍光を示す脈絡膜新生血管)の進展率は19%,平均視力はベースラインより3文字の増加を示し,海外で実施された第III相試験の結果より優れていた.これらの基礎および臨床試験の成績より,ベルテポルフィンによるPDTには,CNVを伴うAMDに対する高い治療効果が期待されている.
- 2004-10-01
著者
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有田 二郎
ノバルティス ファーマ株式会社開発本部・臨床研究部
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奥山 朋子
ノバルティス ファーマ株式会社開発本部・プロジェクトマネジメント部
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有田 二郎
ノバルティス ファーマ株式会社, 開発本部・臨床研究部
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奥山 朋子
ノバルティス ファーマ株式会社, 開発本部・プロジェクトマネジメント部