ICP-AESによる粗銅中の金の定量分析
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概要
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粗銅中の金の取引では,きわめて正確な金の定量分析が要求されており,伝統的な乾式試金法による分析が行われている。しかし,この方法は坩堝融解炉及び灰吹炉など貴金属分析のみを目的に限定された特異な設備を必要とし,また分析操作には長年の熟練を要するという難点がある。そこで,金属分析に汎用的に適用でき,最近広く普及しているICP-AES 法を用いた金の定量分析法を検討した。高分解能の分光器ICP-AES を用いた金の波長242.795nm では,マンガンが共存する場合金の定量分析を妨害し,正の誤差を与えるため,マンガン量の補正が必要であること。鉄,ニッケル,銅,亜鉛及び錫などの共存元素による妨害は認められないことを明らかにした。王水濃度の影響が認められたため,試料分解後の酸の残存量を測定して残存王水量を推定し,試料液と検量線用標準液の王水濃度および共存元素濃度とを一致させ,液組成の妨害を回避した。その結果,ICP-AES 法と乾式試金法により得られた分析値は極めてよく一致し,その差は相対的誤差としてわずかに3% 以下であることが判明した。分析所要時間はサンプリングおよび分解時間を含めて10時間である。分析操作および結果の詳細を本報告に述べた。
- 2004-12-25