<原著>手術侵襲が担癌生体におよぼす影響 : 脾内リンパ球サブセットの機能からみた実験的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
手術侵襲が担癌生体の免疫能におよぼす影響について脾内リンパ球の機能面から非担癌・担癌中期および末期にわけ実験的に検討した.実験は1×10^6コのB16 melanoma細胞をC57/BL6マウス背部皮下に移植し,その生存期間により,担癌中期・末期を設定した.手術は2時間開腹とし,その24時間後に脾臓を摘出し,脾細胞のリンパ球サブセットとNK活性を検討した.その結果pan T細胞(CD3陽性細胞)とその分画であるT-cell receptor(以下TCR)陽性細胞(C57αβ陽性細胞)・CD4陽性細胞・CD8陽性細胞は手術の有無にかかわらず担癌の時期が進行するにつれ減少した.手術侵襲が加わると,TCR陽性細胞(C57αβ陽性細胞)は担癌末期で減少した.CD4陽性細胞は担癌中期および末期で手術により有意に減少が認められた.CD8陽性細胞は中期で手術後減少,末期では変化を認めなかった.CD8陽性CDllb陽性細胞は担癌時期の進行により減少したが,手術による変化は認められなかった.Natural Killer(以下NK)細胞は担癌により,数の減少は認めたものの手術による活性の変化は認められなかった.以上より,担癌時期の進行によって脾内リンパ球はいちじるしく減少し,さらにC57αβ陽性細胞・CD4陽性細胞およびCD8陽性細胞は手術侵襲によっていちじるしく減少することがわかった.このことは担癌生体に手術侵襲を加えることにより,脾内のリンパ球は減少し,免疫担当臓器としての機能を十分はたせないのではないかという可能性が考えられた.
- 順天堂大学の論文
- 2002-09-30
著者
関連論文
- ヒト癌細胞/SClDマウスxenograftモデルを用いた、in vivo遺伝子導入効率の検討
- DP-032-2 術前化学療法による病理学的完全奏効例(pCR)の画像所見についての検討(第108回日本外科学会定期学術集会)
- 同時性両側乳腺原発悪性リンパ腫の1例
- 乳癌に対する腋窩検索リンパ節個数と転移リンパ節の比における予後検討(第105回日本外科学会定期学術集会)
- 当科における鼠径ヘルニア手術についての検討 (従来法, mesh-plug 法, Kugel 法の比較について)(第105回日本外科学会定期学術集会)
- 鼠径ヘルニアにおける mesh-plug 法と Kugel 法の比較と問題点(第105回日本外科学会定期学術集会)
- PS-171-1 超音波ガイド下ハンディーマンモトームの術前診断としての検討
- SF-031-1 当科における鼠径ヘルニア手術についての検討 : 従来法,mesh-plug法,Kugel法の比較について
- HP-229-7 術前化学療法でpCRを得た症例の術前画像評価,超音波検査とCT検査との比較検討(乳がん(画像診断3),ハイブリッドポスター,第109回日本外科学会定期学術集会)
- DP-032-8 術前化学療法を行った遠隔転移を認めない乳癌術後の早期再発についての検討(第108回日本外科学会定期学術集会)
- 318 開腹手術侵襲の転移促進に関する基礎的実験(免疫-2(宿主免疫能))
- 手術侵襲が担癌生体におよぼす影響 : 脾内リンパ球サブセットの機能からみた実験的検討
- SF19c-2 乳癌組織におけるCOX-2およびiNOS蛋白の発現について
- 臨床報告 同側乳腺に併発した広範に及ぶ非浸潤性小葉癌と限局した非浸潤性乳管癌の1例
- 16年間に大腸癌を2回, 小腸癌を1回認めた1例
- 手術侵襲が担癌生体におよぼす影響 : 脾内リンパ球サブセットの機能からみた実験的検討