<特集>消化管粘膜における上皮細胞の免疫学的役割(<特集>診療・研究の最前線(1))
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概要
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消化管上皮細胞は,細菌やIL-1βなどの刺激を受け炎症性ケモカインを産生することが報告されているが,その粘膜免疫に与える影響について十分な検討はなされていない.そこで,消化管上皮細胞に特異的に働くFabpi promoterを用い,消化管上皮細胞にMIP-2を選択的に発現させたトランスジェニックマウス(TG)を作成し,その粘膜免疫に与える影響を観察した.その結果,TGの消化管粘膜において好中球やリンパ球などの炎症細胞浸潤およびMAdCAM-1の発現の増強を認めた.MIP-2のリンパ球に対する影響を検討したところ,MIP-2は粘膜内リンパ球に対し遊走効果があること,粘膜内リンパ球はそのレセプターであるCXCR2を発現していることを確認した.以上より,消化管上皮細胞より産生されたMIP-2により,粘膜に炎症細胞浸潤が誘導されることが示唆された.さらに,Dextran Sulphateをこれらのマウスに投与すると,TGにより強い好中球浸潤が誘導されたことより,粘膜上皮細胞は,自らケモカインを産生し,消化管内に存在する刺激を増幅して粘膜内に伝えている可能性が示唆された.
- 順天堂大学の論文
- 2002-07-10
著者
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