水素結合錯体における二次的相互作用の寄与 : フッ酸二量体、三量体によるモデル研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
複数の水素結合形成時、隣り合った水素結合部位間に働く二次的相互作用をフッ酸二量体、三量体をモデルとして用い、ab initio 分子軌道法および密度汎関数法により考察した。二つの水素結合サイト間の二次的相互作用を考えた場合、水素結合の方向が揃っているDD-AA 型錯体(Figure 1 I)で形成される、水素結合供与体(D)-受容体(A)型の二次的相互作用により、水素結合錯体の安定性は25-35%増加する。一方、水素結合の方向が揃っていないDA-AD 型錯体(Figure 1 II)で形成される、二種類の二次的相互作用の内、D-D型二次的相互作用の影響は他の二次的相互作用よりも小さく、5-15%増加する。D-D 型二次的相互作用で水素結合錯体の安定性が増加するというのはJorgensen らによるモデルの説明と一致しないが、これは、本文Figure 5 に示す三次的相互作用の影響と考えられる。一方、A-A型二次的相互作用により水素結合錯体の安定性は10-20%減少する(本文Table 3 参照)。上記のモデルによる結果を基にformamide の4つ(水素結合供与部位、水素結合受容部位ともに2つずつ)の水素結合部位の水素結合能の違いをほぼ説明する事ができた。(本文Table 4 参照)。
- 日本コンピュータ化学会の論文
- 2004-06-15