<原著>黒龍江省の克山病患者におけるウイルス感染の意義に関する検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的:中国黒龍江省の克山病流行地区の慢性型,潜在型克山病患者について,血中のコクサッキーウイルス特異性抗体(CVB-IgG・CVB-IgM)とB型肝炎の表面抗原(HBsAg)およびC型肝炎抗体(HCV-IgM)を測定することにより,克山病のウイルス感染説を検討する.対象と方法:45歳以下の慢性型,潜在型克山病患者34例(男性15例・女性19例,年齢34.7±6.4歳)および同じ地区で同年齢の健康者32例(男性12例・女性20例,年齢39.2±4.5歳)を対象とした.ウイルス抗体の測定はELISA法を用い,統計学的検討にはオッズ比と95%信頼区間を求めた.結果:血清中コクサッキーウイルス特異性IgG抗体(CVB-IgG)陽性のオッズ比は1.29(95%信頼区間0.126〜8.107),コクサッキーウイルスIgM抗体(CVB-IgM)陽性のオッズ比は5.40(95%信頼区間0.943〜40.12),B型肝炎表面抗原(HBsAg)陽性のオッズ比は0.94(95%信頼区間0.135〜6.416),C型肝炎抗体(HCV-IgM)陽性のオッズ比は9.54(95%信頼区間1.07〜∞)であり,HCV-IgMのオッズ比だけ(95%信頼域が)1.0を含まなかった.結論:コクサッキーウイルス特異性IgM抗体(CVB-IgM)とC型肝炎ウイルス抗体(HCV-IgM)の陽性率が患者群で高いことから,克山病の病因についてこれらウイルス感染との関わりがあることが示唆された.
- 順天堂大学の論文
- 2001-10-19