<原著>生体部分肝移植における移植肝の臨床病理学的研究
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概要
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目的:小児難治肝疾患患者に行われた生体部分肝移植後の生検肝組織像ならびに臨床的病態を明らかにする.対象:原疾患としてWilson病3例・オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症2例・原発性硬化性胆管炎1例,および先天性肝繊維症1例の計7例に対し生体部分肝移植が行われ,術後に経時的に実施した針生検肝組織を対象とした.方法:肝生検組織にはいずれもHE染色・Azan-Mallory染色・PAS染色・鍍銀染色等を施した.結果:1)液性拒絶反応・慢性拒絶反応を認めた症例はなかった.2)急性期に臨床的および病理組織学的に急性拒絶反応を認めた症例はなかったが,慢性期に臨床的に急性拒絶に相当する症例が2例みられたその1例は,病理組織学的に急性拒絶反応重症度分類高度に相当する所見を認めた.3)すべての症例に非特異的炎症反応が認められた.結論:小児難治肝疾患患者に行われた生体部分肝移植後の生検肝の病理組織像には,液性拒絶反応・慢性拒絶反応を認めず,通常の発症時期とは異なる慢性期に急性拒絶反応に相当する病理所見を認めるものや全症例に非特異的炎症反応を認め,病理組織診断における問題点と考えられた.
- 2003-05-30