活性型ビタミンD_3製剤ファレカルシトリオール(ホーネル【○!R】錠,フルスタン【○!R】錠)の薬理作用と臨床効果
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概要
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ファレカルシトリオールはカルシトリオールの26,27位の水素を全てフッ素で置換した構造を有し,強力で持続的な作用を示す活性型ビタミンD3製剤である.カルシトリオールは25(OH)VD3-24R-hydroxylase(Cyp24)により24位が水酸化されて不活性の代謝体となる.本薬はCyp24により23位水酸化体,引き続き23位oxo体に代謝され,これらの活性を保持した代謝体が副甲状腺,骨,皮膚といった標的細胞内に長く留まるため,カルシトリオールより強力で持続的な作用を示すと考えられている.慢性腎不全に伴う二次性副甲状腺機能亢進症(2°HPT)と骨病変に対して病態モデル動物では血清副甲状腺ホルモン(PTH)の抑制に加え骨病変の改善も認めた.臨床では2°HPTに対しては用量依存的な血清PTH濃度抑制を示し,プラセボに対しても有意な改善効果を認め,経口の活性型ビタミンD製剤として初めて明確な有効性を示した.既存の活性型ビタミンD製剤であるアルファカルシドールで治療しても十分な効果を認めない症例に対し,血清Ca濃度を正常範囲内に維持する投与量で24週間投与すると,本薬投与群では血清PTH濃度や骨代謝マーカーの改善に優れ,血清リン濃度は本薬で有意に低かった.血液透析を受けている腎不全患者に反復投与しても健常人の薬物体内動態と差異は認められなかった.本薬を血清Ca濃度が概ね正常範囲を維持するように48週間投与すると血清PTH抑制や骨代謝マーカーの改善を認めている.クル病·骨軟化症に対しては既存薬から本薬に切り換えた場合に既存の活性型ビタミンD3製剤よりも低用量で効果が維持され,治療効果が不十分な家族性低リン血症性クル病症例や新規に治療を開始した骨軟化症で骨所見の改善を認めている.副甲状腺機能低下症に対してはモデル動物や各病形の患者に対し既存の活性型ビタミンD3製剤より低用量で血清Ca濃度を正常域近くに維持できることが示されている.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2002-12-01