新規クラス抗菌薬リネゾリド(ザイボックス^【○!R】)の抗菌作用および臨床効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
リネゾリド(ザイボックス®)は,全く新規なオキサゾリジノン系完全合成抗菌薬であり,2001年4月,国内初めてのバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症治療薬として承認を得た.リネゾリドはグラム陽性菌に対して広い抗菌スペクトルを有し,そのMIC90は0.5〜4 µg/mLで,バンコマイシンとほぼ同程度の抗菌活性を示した.また,リネゾリドはVREやメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの薬剤耐性菌に対しても感受性菌と同程度の抗菌活性を有している.既存のタンパク合成阻害薬のマクロライド,テトラサイクリン,アミノグリコシド,クロラムフェニコール系薬剤は,細菌のタンパクがリボソームで合成される段階の30S及び50Sリボソームに結合してelongation cycle(伸長過程)を阻害するのに対し,リネゾリドはリボソームの50S,30S-mRNA,fMet-tRNAの三者が形成される過程を阻害し,かつ伸長過程を阻害しない.リネゾリドはこの特有な作用機序を有することにより,既存の抗菌薬群に対して耐性を有する菌にも交叉耐性を示すことなく,また,耐性獲得も極めて緩除であった.リネゾリドのVREに対する抗菌作用は静菌的であった.リネゾリドは経口投与によりVREを感染させたマウス全身感染モデルにおいてin vivoにおける有効性を示し,同じくマウス軟組織感染症モデルにおいても膿瘍形成前に経口投与することにより感受性菌の場合と同程度の有効性を示した.リネゾリドの経口投与後の吸収は極めて速やかであり,静脈内投与との比較における経口投与での生物学的利用率はほぼ100%である.臨床試験において,リネゾリドは1日2回の投与によりVRE感染症治療に優れた有効性を示すことが明らかにされている.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2002-10-01
著者
-
橋本 宗弘
ファルマシア・アップジョン・研究開発
-
野村 俊治
ファイザー株式会社非臨床開発研究部
-
野村 俊治
ファルマシア・アップジョン筑波総合研究所
-
入野田 一彦
ファルマシア株式会社
-
橋本 宗弘
ファイザー株式会社 中央研究所 安全性研究統括部 ポートフォリオマネジメント部
-
橋本 宗弘
ファルマシア株式会社
関連論文
- バレニクリン酒石酸塩(チャンピックス®錠0.5 mg・1 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
- ロメリジンの抗片頭痛作用
- バレニクリン酒石酸塩(チャンピックス^【○!R】錠0.5mg・1mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
- セララ^【○!R】(エプレレノン)錠25mg・50mg・100mgの薬理学的特徴および臨床試験成績
- Propionibacterium acnesに対するClindamycinの抗菌性に関する基礎的検討
- 新規非可逆的アロマターゼ阻害薬エキセメスタン(アロマシン^【〇!R】)の\薬理学的特性および臨床効果
- 新規クラス抗菌薬リネゾリド(ザイボックス^【○!R】)の抗菌作用および臨床効果
- 新規緑内障治療薬ラタノプロスト(キサラタン^)の薬理作用
- ラットの脊髄圧迫損傷に対する高用量Methylprednisolone Sodium Succinate 繰り返し投与の効果
- ICH-S7Bドラフトガイドライン