超臨界水の密度ゆらぎに関する分子動力学シミュレーションによる検討
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概要
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高温・高圧における水の状態である超臨界水は、さまざまな物質を溶解する性質や加水分解の作用に優れる。しかし、超臨界水の構造等、基礎的諸性質は、まだ十分に解明されてはいない。本研究では、臨界点近傍から超臨界状態に至る広い範囲の超臨界水の構造を、分子動力学シミュレーションを用いて検討した。分子動力学計算はKarplusらの開発したCHARMM25を用いた。水分子モデルには古典的な非分極形のtips3pモデルを用いた。水分子512個を立方体中に配置した系を周期境界条件の下で温度・圧力一定(NPT)のシミュレーションを行った。構造解析の方法として部分動径分布解析とブロック解析を行った。ブロック解析では系を縦・横・高さについてそれぞれ5等分して125個の小さい立方体(bin)に区分し、各bin中に存在する水分子数を調べた。その結果、気液平衡線の延長線上に、西川らの見出した超臨界水の密度揺らぎの極大が見られ、揺らぎは高温・高圧になるほど均一化していく傾向を示した。このような密度揺らぎは分解反応速度や溶解性などの物性と関連していることが示唆されており、今後これらの関係解明および反応最適化への利用の試みなどが期待される。
- 日本コンピュータ化学会の論文
- 2002-09-15
著者
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