畦連続利用によるキュウリの生育及び根系について
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概要
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省力化を目的として, 畦 (うね) 利用の違いが生産や土壌の理化学性に及ぼす影響について, キュウリの年3作体系下において検討した. 更新区は, 3作それぞれで作畦し元肥を施用したが, 連続区は, 1作目に作畦し元肥を施用した後, 畦をそのまま利用し追肥のみ施用する. 連続区は, 更新区より追肥同量試験はN成分で56%, 追肥増量試験は36%の減肥となり, 収量は, 追肥同量試験でも連続区が更新区の88.0%, 追肥増量試験では, 収量差はない. 連続区は, 更新区に比べて土壌の化学性の差はほとんどなく, 土壌の物理性でも, 土壌の深さ別3相分布で, いずれの深さでも更新区より気相の率が高く, 耕盤と考えられる鋤床層がない. 深さ別の根重では, 追肥同量試験で連続区は更新区に比べて10〜20cmで有意な差があり, 根系の深さに差が認められる. しかし, 追肥増量試験で両区に差は認められず, これは追肥としての液肥施用の影響だと考えられるが, 連続区は更新区に比べ下層部の根が太くなっている. 以上のことから, 従来の2作目以降も元肥を施用して畦づくりを行う栽培法は, 元肥の流亡や土壌硬度の面等で問題点があり, 逆に, 元肥施用や畦づくりを省力化して畦を連続的に利用する栽培法は減肥が可能となるほかに, 土壌の理化学性の改善になり, 根系を発達させる点から有利な面がある.
- 根研究会の論文
- 2000-09-25