ペプチドロイコトリエン拮抗性喘息治療薬ザフィルルカスト(アコレート^<【○1R】>)の薬効薬理作用と臨床効果
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概要
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気管支喘息は現在,気道の慢性炎症性疾患としてとらえられており,その病態発現における種々のケミカルメディエーターの関与が明らかになっている.これらのうち,特にペプチドロイコトリエンであるLTC4,LTD4およびLTE4は気道の平滑筋収縮作用や起炎作用を有し,喘息に対して病態生理学的な役割を果たしていることが明らかにされている.ザフィルルカストはこれらのペプチドロイコトリエンとCysLT1受容体上で競合的に拮抗する気管支喘息長期管理薬である.ザフィルルカストはモルモットおよびヒト肺由来の細胞膜標品において[3H]LTD4および[3H]LTE4の細胞膜に対する特異的結合を強力に阻害し,摘出モルモット気管および肺実質,ならびに摘出ヒト気管支のペプチドロイコトリエンにより誘発される収縮を抑制した.さらにLTD4により誘起されるモルモットの血管透過性亢進を強力に抑制した.In vivo試験系では,モルモットを用いた試験でLTD4により誘起される呼吸困難を用量依存的に抑制し,LTD4および卵白アルブミンにより誘起または惹起される肺機能低下に対して予防および改善作用を示した.また,LTD4により誘起される気道組織中への好酸球浸潤および気管支浮腫に対して抑制効果を示した.一方,自然感作されてブタ回虫抗原に対してアレルギー反応を呈するヒツジでは,ブタ回虫抗原に惹起される即時型および遅発型気道収縮,ならびに気道過敏性亢進に対して抑制作用を示した.臨床薬理試験においては,本薬はLTD4あるいはアレルゲン吸入による気道収縮,ならびに運動誘発による呼吸機能の低下を抑制し,また,メサコリンに対する気道過敏性の発現を阻止した.さらに,成人気管支喘息患者を用いた臨床試験でも本薬の優れた有効性が確認された.以上のように,本薬は気管支喘息の治療に有効であり,その効果はペプチドロイコトリエン拮抗作用によるものであることが示された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2002-04-01
著者
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村田 陽介
アストラゼネカ(株)研究開発本部
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杉本 収
アストラゼネカ株式会社研究開発本部臨床企画統括部呼吸器炎症領域部
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村田 陽介
アストラゼネカ株式会社・研究開発本部・薬事統括部・前臨床開発部・薬理グループ
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