肝硬変モデルラットにおける門脈圧亢進性腸症の検討
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概要
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thioacetamide(TAA)を用いて作製した肝硬変・門脈圧亢進ラットに色素混入ラテックスを門脈本幹より注入し,大腸血管像を組織標本と透明標本で観察した.粘膜固有層から固有筋層までの樹枝状の静脈の蛇行・拡張・増加(WT)と,くも状血管腫様の拡張血管の集合像(VE)の所見を得た.一方,肝硬変症患者38例の大腸内視鏡検査でWTおよびVEと類似した所見が得られ,それぞれの陽性率は78.9%,65.8%とコントロール(10%,7.5%)に比し有意に高かった.以上よりWTとVEは門脈圧亢進性腸症(PHC)の所見と考えられた.PHCは比較的初期の肝硬変,門脈圧亢進症においても出現することが示唆され,TAAによる門脈圧亢進ラットはPHCの実験モデルとして適切と考えられた.
- 財団法人 日本消化器病学会の論文
- 2002-06-05