活性化プロテインCの抗血栓作用
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概要
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活性化プロテインC (Activated Protein C: APC) は血液凝固制御機構を司る重要な生体成分で,分子内のγ-カルボキシグルタミン酸とCa<SUP>2+</SUP>を介し血栓が形成されている細胞膜上に結合し,活性化凝固第V因子や第VIII因子を不活化し凝固カスケードを抑制するため,出血のリスクが少なく強力な抗血栓作用を発揮することが期待される.我々はAPCを成分とする血液分画製剤を血栓症治療薬として開発しているが, APC製剤がヘパリンに比べ出血リスクが少なく抗血栓作用を示すことを汎発性血管内凝固症候群の動物モデルを用いた試験や,臨床試験において実証した.また抗凝固作用とは別に線溶亢進作用を有し,血栓保持を抑制する.さらに白血球活性化を抑制し抗炎症作用を発揮すること,また血管内皮細胞膜に特異的な受容体の存在が発見され,APCの機能との関連が明らかになりつつある. APCは血液凝固線溶系と炎症免疫系の接点に位置し多面的に生体の防御機構を調節していると考えられ,その生理調節能が注目されるとともに, APC製剤の血栓症や炎症疾患への有用性が期待される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2000-11-01