子牛およびめん羊のチアミン欠乏症, 特に実験的大脳皮質壊死症に関する臨床病理学的研究
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概要
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反芻動物のチアミン欠乏症、特に大脳皮質壊死症(CCN)の病態を明らかにするために、子牛およびめん羊にチアミン拮抗薬のアンプロリウムを投与し、.実験的にCCNを作出して、臨床病理学的な研究を行った。また、CCN野外発症子牛について検索した。<BR>アンプロリウムを投与した子牛およびめん羊は、異常脳波と神経症状を呈して死亡した。大脳皮質にCCNの特徴である壊死病変と自家蛍光を認めた。組織中のチアミン含量は低く、チアミン欠乏が明らかであった。異常脳波の発現する2週間前から、血中チアミン濃度およびチアミン依存性酵素活性の低下を認めた。<BR>病徴の経過において実験的CCNのめん羊を剖検した。組織中チアミン含量には、病徴の経過に伴う有意な変化は認めなかった。脳の壊死病変および自家蛍光は、病徴の経過に伴い、重度になる傾向を認めた。<BR>実験的CCNめん羊に対するフルスルチアミン(TTFD)の投与効果を検討した。血液中の生化学パラメータの異常値は,TTFD投与直前の病徴の程度に関連なく,投与後6時間以内に正常値に回復した。臨床的な回復および投与後の脳病変の程度は,TTFD投与直前の病徴によって異なっていた。CCN野外発症子牛の血中および組織中チアミン濃度は,その他の疾病子牛および健常子牛の値に比べて有意に低かった。また,CCN野外発症子牛の糞便中に,チアミン分解酵素であるチアミナーゼの高い活性を検出した。
- 日本家畜臨床学会の論文
- 2001-10-20