ガラガラ沢雪崩事故調査報告
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概要
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2000年2月19日,長野県白馬村のガラガラ沢において3名のバックカントリースノーボーダーを犠牲者とする雪崩事故が発生した.事故当時,周辺で滑走していたスキーヤー・スノーボーダーへの聞き取り調査,雪崩破断面での積雪断面観測結果から,こしもざらめ雪およびざらめ雪からなる不安定な層の上に形成されたウインドクラストの層が,事故者の滑走による刺激のため割れてしまったことにより雪崩が発生したと考える.一方,事故当日,事故グループ以外にも同じ沢で滑走していたスキーヤー・スノーボーダーが20人前後いたが,彼らは雪崩を誘発しなかった.事故グループは,現場周辺でも特に積雪が不安定な場所を滑走ルートとして選んだことにより雪崩を誘発したと考える.また,事故前後に行った周辺での積雪断面観測の結果から,事故につながった積雪状態の形成には,雪崩発生域が地形的に風による吹き払いを受けやすく,積雪深が浅い場所であったということが大きく影響していたと考える.
- 2002-01-15