吃音発声の心理的土壌に関する研究 : 予防的関与を視野に入れて
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概要
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幼児吃音発生に影響を与える環境要因を, 親子言語関係から探るために, 3歳児をもつ親885名に対し, 親子言語関係と子供の非流暢性発話に関する質問紙調査を実施した.親子言語関係の項目に対して因子分析を行ったところ, 規範性・受容性・過保護性の3因子が抽出された.また子供の非流暢1生発話の程度から対象者を吃音群・吃音high risk群・吃音low risk群に分け, それぞれの因子に関して群間比較を行ったところ, low risk群・high risk群・吃音群の順に規範性と過保護性が高くなっていく傾向がうかがわれた.一方, 受容性に関しては一貫した傾向がみられなかった.この結果から, 親が子供の非流暢性発話に対して規範的・過保護的に働きかけ, かつ子供の話をよく聞かない場合に, 親の働きかけと子供の非流暢性発話との間に悪循環が生じ, 幼児吃音の発生につながると考察された.ゆえに, 親子言語関係への早期介入が, 幼児吃音発生の予防となることが示唆された.
- 1999-10-20