前庭代償に関する頸部深部知覚の役割
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概要
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前庭の代償過程における頸部深部知覚の役割を検討する目的で, 一側前庭機能障害者98名に頸部振動刺激を行い, 体平衡に及ぼす影響を検討した. 頸部振動刺激により前後左右の動揺が有意に増大し, 前庭代償がすでになされていると考えられた症例では, 位置ベクトルは患側に大きく, 動揺中心は患側に偏位した. 急性一側性前庭機能障害である前庭神経炎の例では, 経過とともに前庭代償がなされるに従い, 頸部振動刺激による動揺中心は, 患側に偏位した. 以上のことから, 前庭の代償過程に頸部の入力が重要な働きをしていると考えられた.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
- 1996-09-20