SHRの加齢に伴う心血管の器質的変化および血管反応性に対するロザルタン長期投与の影響-カプトプリルとの比較-
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概要
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高血圧自然発症ラット(SHR)の心肥大,冠血管拡張予備能の低下,冠血管肥厚および腸間膜血管床のノルエピネフリン(NE)反応性冗進に対するアンジオテンシンII(Ang II)受容体拮抗薬とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の作用を比較検討するために,ロザルタンおよびカプトプリルを5週齢のSHRに16週間反復投与した.1)ロザルタン(10mg/kg,p.o.)およびカプトプリル(30mg/kg,p.o.)は,SHRの加齢に伴う収縮期血圧の上昇をそれぞれ有意に抑制し,両者の抑制効果は同程度であった.2)21週齢のSHRの心室重量は,対照群に比べ,ロザルタン投与群(L群)およびカプトプリル投与群(C群)では有意に低値を示した.3)摘出心臓灌流標本を用いて,アデノシン(10nmol)投与により得られる最大冠灌流量を指標に冠血管拡張予備能を検討した結果,L群の最大冠灌流量は対照群に比べて有意に高値を示し,冠血管拡張予備能の改善効果が認められた.C群においても高値を示したが,その改善効果はL群よりも弱かった.4)冠血管肥厚についてwall/lumen ratioをもって検討した結果,L群およびC群ではそれぞれ対照群に比べて有意に低値を示した.5)摘出腸間膜血管床のNE(0.1〜30n mol)による灌流圧上昇作用において,L群では対照群に比べて有意に低下していた.C群でも低下傾向を示したが,有意な作用ではなかった.以上,SHRにおける心血管系の病態に対するロザルタンおよびカプトプリルの改善効果を長期間投与により比較検討した結果,加齢に伴う血圧上昇を同程度抑制する条件下において,ロザルタンは冠血管肥厚,冠血管拡張予備能低下および腸間膜血管床におけるNE反応性元進を有意に改善し,その作用はカプトプリルよりも優れていたことより,ACE以外の酵素により産生された組織中Ang IIもこれらSHRの血管の器質的変化や反応性冗進に一部関与している可能性が示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 1995-06-01
著者
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