咽喉頭異常感症と骨量低下の関連について
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概要
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日常臨床にてよく患者が訴える症状に咽喉頭異常感がある.器質的疾患や炎症などを否定してもなお残る咽喉頭異常感症がなぜ生じるか,いまだ定説がないが,本論文では本症の原因を探ることを目的として本症が中高年女性に多いことに注目し,同様に骨粗鬆症が中高年女性に多く見られるので骨量の低下と本症に因果関係がないかを調べた.対象は1992年2月から1996年までの4年間に東海大学耳鼻咽喉科,伊勢原協同病院耳鼻咽喉科,はぎの耳鼻咽喉科を受診した咽喉頭異常感症患者29名と,対照群は研究協力に同意したボランティア27名である.咽喉頭異常感症の診断基準はBradleyの提唱したprimary globus pharyngeusおよび,日本における咽喉頭異常感症研究会が提唱する治療指針を参考に診断を行った.患者群,対照群全員に手部背掌単純撮影を行いX線フイルムからマイクロデンシトメトリー法により第2中手骨の骨密度,その他の骨萎縮度を反映する複数の指標を比較分析した。最も重要な骨密度の指標と言われているΣGS/Dをはじめ,GSminおよびGSmaxの値が全症例の検討で対照群に比較して統計学的に有意な低下を示した.43歳以下および44歳以上で未閉経の女性においても同様の結果が得られた。男性においてはGSminが対照群に比較して統計学的に有意な低下を示した.咽喉頭異常感症の患者において,女性においては閉経前の女性でも有意に骨量が減少していることが判明し,男性でも骨量が減少している傾向があることが判明したため,咽喉頭異常感症の患者においては女性の閉経後におけるエストロゲン欠乏など他の要因で発症する骨粗鬆症を否定した上でも骨量低下を来す可能性が示された.
- 2000-10-20