原発性胆汁性肝硬変における銅の組織内分布 - 電子線マイクロアナライザー法を用いて -
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概要
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原発性胆汁性肝硬変(PBC)における銅の肝組織内分布および半定量を,組織化学および今回初めてカラー表示を用いて銅の蓄積量の高低を明示する波長分散型電子線マイクロアナライザー法(EMA)を用いて,Scheuerの病期別に検討し,また他の肝疾患と比較検討した.PBC117例中orcein陽性顆粒は黄疸例(血清総ビリルビン2.0mg/dl以上)29例中全例で,無黄疸例(血清総ビリルビン2.0mg/dl未満)88例中28例に陽性であった.EMA法による肝組織内銅の分布は,PBCでは門脈周囲肝細胞が主体で,病期進展例では中間帯にも認められた.組織内銅の電顕像との対比では,核内に分布はほとんどみられず細胞質内に認められた.以上よりEMA法は従来の銅結合蛋白染色や銅染色法に比し,銅の検出に鋭敏であり,分布および半定量性に優れていることが明らかであった.また組織化学的変化との関連から,肝細胞内の銅はPBCの病変の増悪,進展に関与するものと推測された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
- 1995-06-25