原発性胆汁性肝硬変における胆管破壊機構の免疫組織化学的検討
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概要
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原発性胆汁性肝硬変(PBC)の病初期に認められる慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)における胆管破壊機構について免疫組織化学的に検討した.PBCの小葉間ないしは隔壁(中等大)胆管周囲に浸潤していたCD4, CD8陽性リンパ球の算定結果では,両者の浸潤率はほぼ同率で有意差を認めなかった.CD4, CD8陽性Tリンパ球のいずれもが傷害胆管上皮細胞に直接接着し,同時にlymphocyte function-associated antigen (LFA)-1陽性を示した.CNSDCを示す胆管上皮細胞上にはHLA-ABCの発現増強とHLA-DRの顕著な異所性表出とともにintercellular adhesion molecule (ICAM)-1の発現を認めた.これらHLA抗原の表出と増強の下に活性化されたCD4陽性(class II拘束性),CD8陽性(class I拘束性)リンパ球の両者が標的胆管上皮細胞に対して障害性に作用し,終局的には,細胞障害性Tリンパ球表面に発現したLFA-1と胆管上皮細胞形質膜上に発現したICAM-1との接合を介して胆管破壊が惹起されると考えられた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
- 1995-12-25