「産廃紛争」解決への課題 -「廃帰法」改定の評価と問題点-
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概要
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「廃棄物処理法」は改定されたが, 改定内容からみて, 全国の「産廃紛争」解決への道は程遠いように思われる。それは, 「ガス栓」を締めずに火事を消そうとするような, 核心外しの法令いじりや改悪の要素さえ色濃いものだからである。廃棄物の「違法処理」や「産廃紛争」が野火のごとく広がり, 深刻の度を増してきた根本の原因は, 政府が, 長年にわたって産業廃棄物の大量発生を放置すると共に, 排出事業者責任を事実上なきに等しくして来たこと, 廃棄物処理のためには自然破壊や環境汚染を黙視する政策をとって来たことにある。<BR>そして「改正法」では, 相変わらず産廃の発生抑制への実効的義務規定は入らなかったし, 事業者責任の強化と称するものも, 多量排出事業者への減量計画提出指示, マニフェストの全面適用, 管理票不交付後の違法処理等に関する措置命令, 原状回復措置基金への任意拠出, この程度の規定が加わったに過ぎない。 (後の政・省令改定の中で, 事業者から産廃業者への委託基準の強化は予定されているが。)<BR>本稿では, こうした法改定の欠陥の指摘と, 今後への是正の提案を軸に, 「産廃紛争」解決への課題を探る。
- 一般社団法人 廃棄物資源循環学会の論文
- 1997-07-31