両親媒性物質の溶液物性に関する研究
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概要
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ミセル形成, ミセルへの可溶化, イオン解離等の両親媒性物質の溶液挙動をギブズの相律に基づく自由度から考察した。その結果, ミセル分子集合体は自由度からは相ではなく, 化学種として取り扱われるべきである。更に, クラフト温度は相転移温度ではなく, ミセル形成に必要なモノマー濃度をもたらす溶液温度と解釈すべきである。水に難溶性有機物のミセルへの可溶化もミセルを化学種と見なすことにより妥当な理論的取り扱いができ, 延いては被可溶化物のミセルへの出入りの速度論的解析も可能となる。難水溶性有機酸の酸解離定数は溶解度のpH依存性から精度良く決定できる。これらの結果が示すように, 両親媒性物質の溶液系を熱力学的に正しく解釈するためには, 自由度に矛盾しない解析が必須である。
- 社団法人 日本油化学会の論文
- 1998-11-20