食用油脂の分別
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概要
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分別は食用油脂物性の多様化のための一次加工技術として,水素添加やエステル交換技術とともに重要な役割をはたしてきた。分別は,固形状もしくは半固形状の油脂を,融点,硬さや固体脂含量の異なるいくつかのフラクションに分け,その関連製品への応用を広げる加工技術であり,工程には二つのステップがある。すなわち晶析槽での結晶化と,それに続く結晶部と液体部との分離で,工業的には3種の分別方式が知られ,結晶化,分離方法に各々特色がある。分別処理により応用が最も拡大したのがパーム油で,中融点部は製菓用油脂として,また液体部はフライ,スプレー,調理用として用途が格段に増加し,現在では大豆油に次ぐ重要な油糧資源となっている。分別は可逆的工程でロスも少なく,またトランス異性体を生成せずに高融点油脂,並びに低融点油脂が同時に得られるという,他の加工技術には見られない側面があるため,一次加工に於ける分別の重要性はますます高まるものと期待される。
- 社団法人 日本油化学会の論文