海外におけるごみ発電の状況, とくにボイラの状況を中心にして
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概要
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欧州では, 1960年代にごみ発電が普及し始めたが, ボイラ水管の高温腐食によるトラブルが多発したため, ごみの燃焼方法, ボイラ構造, ボイラ水管の保護方法や材料等について種々の改良が行われた。この後, 米国では欧州で改良された技術を導入して, 1970年代の後半から大規模なごみ発電所の建設に取組みだした。欧州でも, 近年になってからごみが再生可能なエネルギー源として見直され, ごみ発電に力を入れ始めた国が増加している。ごみ焼却炉ボイラは一般の化学燃料用ボイラと比べて, 非常に厳しい腐食環境下にあり, 火炉を構成する水冷壁管およびスーパヒータ管に損傷を受けることが多い。水冷壁管の腐食防止には, 耐火材料によるライニングが欧州で早い時期から実用化され, 近年は高合金の溶接肉盛が, 米国で広く適用されるようになった。また, スーパヒータ管の腐食防止には, 蒸気温度が初期の500℃台から450℃以下に落とされたことと, スーパヒータ部のガス温度を650℃以下とするなど, スーパヒータ管のメタル温度を下げる方策がとられた。一方で, ボイラ構造面の改良も続けられており, 耐久性の大きなテールエンド型ボイラや, パネル型スーパヒータ (高温ガス領域) を用いたコンパクト型ボイラ等が, 今後, 普及するものと見られる。
- 1995-05-31