攻撃的ユーモア志向性とセルフ・モニタリング傾向が機能不全的ユーモア表出に及ぼす影響
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概要
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先行研究(長谷川,2011)では,日常生活におけるユーモア表出がうまくいかず,他者から嫌悪感を引き起こしうる行動を機能不全的ユーモア表出と定義し,その傾向を測定する尺度を作成した。この尺度は,従来のユーモア研究では捉えられなかった側面に焦点を当てるものであるが,問題点もあった。それは,ユーモアを表出する側の自己認知を測定するものであり,表出される側の他者がどのように感じているかが明確ではないという点である。本研究では,この問題点を解消するために,自己と友人とのペア調査を行い,機能不全的ユーモア表出尺度の他者に対する評価版を作成し,相互に評定をさせた。分析の結果,自己評定よりも友人の評定の方が,機能不全的ユーモア表出得点が低かった。つまり,友人は,自己よりもユーモア表出の仕方を悪いと捉えていないことが示された。さらに,本研究では,どのような人が機能不全的ユーモア表出を行うかという問題について,長谷川(2010)と同様に,攻撃的ユーモア志向性とセルフ・モニタリング傾向の観点から検討した。分析の結果,攻撃的ユーモア志向性が高いほど,機能不全的ユーモア表出の自己評定も他者の評定も高くなることが示された。さらに,セルフ・モニタリング傾向の下位尺度である自己呈示変容能力が低く,攻撃的ユーモア志向性が高い人は,内輪受けを狙い,自己卑下的なユーモア表出をすると自己認知していた。また,このような人は,心理的距離が近い相手から統制スキルが不足したユーモア表出をすると認知されていた。本研究で得られた結果に基づいて,自尊心や抑うつといった他の個人差変数がユーモア表出に及ぼす影響について,さらなる検討の必要性が議論された。
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