姨捨大池における湿生植物群落とため池管理との関連性
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概要
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ため池の湿生植物群落の成立要因を探るため,姨捨大池(長野県千曲市)において,群落および植物相の調査を行なった。姨捨大池は農業用のため池で,水系の連続した3つの隣接する池(上池,中池,下池)からなり,池により水位調節が異なる。湖畔全域の植生を把握したのち,山つき湿原5群落と水際草原6群落に調査区を設けた。群落調査として,各調査区で0.0625~32㎡までの24方形区を調査して種数面積曲線の作成と解析を行なった。植物相について,同一池内と異なる池間の出現種の類似性を分析した。種数面積曲線から求めた最小面積A・ヷと種数S・ヷは,山つき湿原では群落全体の面積規模Aと高い正の相関関係にあったが,水際草原では相関は認められなかった。植物相について,各池に固有な種数はいずれの植生でも全体のおよそ3分の2に及び,池間の類似性も低く,池ごとに特色ある湿生植物群落が成立していることが判明した。湿生植物群落への水位変動の影響が示唆され,植生保全に対するため池管理の重要性について考察を加えた。
著者
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