近代日本における住宅研究の史的展開--「庶民住宅」研究の進展を中心に
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概要
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日本では1910 年代末、西洋から新たに導入された建築技術に種々の試みが加えられ、大正初期には、建築研究者達の社会的関心が高まりを見せ始め、都市住宅を社会問題として捉える傾向が生まれた。その後、1925 年、合理主義方法論が国際的事情を背景に多様化の方向に進む中、日本でも近代合理主義の端緒が見られた。一方、日本の近代建築の進行過程は極めて段階的で、多様な展開を示していた。その一つの流れが、社会主義思想の影響を受け、新しい価値観の理論的確立を目指した建築学者西山夘三らのグループであり、この西山こそが近代以降、初めて庶民住宅の研究を完成させた人物であった。本稿では、西山の「庶民住宅」研究の特徴を整理し、同時代における住宅研究と西山のそれとの差異が何かを明らかにした。また、西山の新たな建築観の構想により生み出された成果が第二次大戦後、建築計画学の発展の方向性を大きく決定づけ、対社会的にも大きな役割を果たしたことにも言及した。その結果、今後、西山の住宅研究を軸とし、近代以降の日本における住宅形成の過程を史的に考察しうるという方向性を示した。
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