日本の競争力「ジャスト・イン・タイム」--震災後の東日本の復興と協働 (特集 企業経営の協働のあり方--震災後の日本企業復興に向けて)
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概要
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特集/企業経営の協働のあり方 -震災後の日本企業復興に向けて-第二次世界大戦での敗戦後、復興を果たした日本の国際的な競争優位は、製造業における小集団活動を主体とした、絶え間ないカイゼンによる、高品質な製品輸出により支えられてきた。カイゼンは、日本特有な相互擦り合わせ思考をベースにして、JIT (ジャスト・イン・タイム)生産方式を生み出し、トヨタのカンバン方式のみならず、宅配やコンビニエンス業界の様なサービス産業にまでJITの経営思考は拡大した。その経営思考は、先端技術の開発にまで浸透している。一方、現在のグローバル環境をみると、日本国の失われた10年に続くデフレスパイラルと膨大な国債発行額、米国に端を発したサブプライム問題による世界的な金融危機、ヨーロッパにおける借金大国の崩壊懸念、アフリカと中東地域における政治不安、中国をはじめとするBRIC'sの台頭、等、どれをとっても、極めて世界連鎖性が強い、混沌とした状態下にある。この状況のなかで、2011年3月11日に大震災が東日本を襲った。この大災害は、製造に比較優位を維持してきた日本の製造業のサプライチェーンの連鎖を欠落させた。それに加え、福島第一原子力発電所の事故発生により、安全性懸念が全国規模で連鎖し、物造りに必須である電力供給に大幅な制約を与え、消費者マインドもさらに冷え込んだ。さまよい続ける日本政府への不信感もさらに増大し、日本のあらゆる分野で、産業のクラスターが崩壊する危機に直面している。この危機的状況から、日本が、いかに素早く抜け出せるか、停滞を余儀なくされるか、あるいは崩壊に至ってしまうか、世界が注目している。日本のJIT(ジャスト・イン・タイム)を創り出した「協働」については、日本の古代人を起点とするDNAを想定し、「元本保証」による連続的関連性をもって実現している「秩序ある小集団行動」と、どんな時代でも独自の先端技術を生み出してきた、「擦り合わせ」という相互関連性をもって実現する「多様性の創出」について論じる。災害からの復興については、世界連鎖性が強く出ている東日本の製造業を取り上げ、また、世界連鎖性の少ない農業、酪農、漁業については東日本の地域特性が強い漁業を取り上げ、「協働」とJIT(ジャスト・イン・タイム)による回復と再成長について論じる。災害を機に表に出てくる日本が持つ特有な問題については、ミクロの小集団活動による弱い力の総力が、マクロの覇権的強い力に、「協働」をもとにどの様に対抗しうるか論じる。
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