大象に対する王弼易学の態度について(1)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
王弼易学は、象傳が卦象より卦徳を重んじる傾向にあるのに従い、卦義を論じる際に卦象を軽視しているといえる。それは、『周易略例』明象における「忘象得意」の主張に典型的に見える卦象軽視の基本的姿勢が具体化されたものであろう。だが、大象は卦象を以て卦義を論じることを重視している。そしてこの大象は象傳の次に位置しており卦義を論じる際に依拠すべき存在である。卦象を軽視する王弼はこの大象にどのように対応しているのであろうか。本稿は、王弼の大象に対する基本的態度が、卦象軽視と同時に大象の議論を象傳の議論の中に取り込んでしまうことであったことを、六十四卦を分析することによって論じたものである。分量の都合から、このIでは大象王注が上下卦に言及している二十三卦について分析した。
論文 | ランダム
- 近代日本文学にたいする反省と批評--入江隆則「幻想のかなたに」
- の問題を契機とする創造性--黒井千次「仮構と日常」
- 安部公房と転向論--二つの「榎本武揚」 (安部公房--文学と思想)
- 人間存在の全体性 (1970年代文学の状況と認識) -- (1970年代の文学的問題)
- 鴎外における「まことの我」 (近代文学の原点--成立期の意識と構造(特集)) -- (主体の確立)