東京都内に住む中條雅之さんは2009年3月初め、手元に届いた社会保険庁の手紙を前に頭を抱えていた。 72歳。アパートで一人暮らしの中條さんの元に、年金記録の確認を求めるねんきん特別便が届いたのは2009年2月末だった。年金生活に入って長くはなるが、公的年金の制度自体に詳しくはない。だが、特別便に入っていた年金の加入記録には一目見て気がついた。「おかしい」。