社会政策か民法典か
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概要
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本稿は19世紀未のドイツ民法典編纂史において一つの重要な争点となった,法による社会改革の実現か,純粋な一般的抽象的私法の創出かという民法典編纂の目的を巡る論争を通して民法典の意義を再考するものである。当時,ゲルマニストのギールケは「私法の社会性」を強調し,法曹社会主義のメンガーは「社会的法学」を提唱し,自由法論者・法社会学者のエールリツヒは当代の「倫理的政治的理念の実現」という国家による立法の使命を説く一方,民法典起草者の重要な一人であったブランクは,あくまで民法典は「純粋私法」としてその一般性・抽象性を堅持すべきであると擁護し,社会政策は民法典の外部において対処し特別立法に委ねるべきだとの立場を貫いた。その後20世紀の立法の趨勢はブランクの指示した道を歩むことになるが,ある意味でその先駆となり,また,消極的姿勢とはいえすでに社会政策的条文を若干なりとも採用しなければならなかったドイツ民法典には,19世紀未という法典編纂時の時代的状況が色濃く反映されていたのである。
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岡山大学教育学部 | 論文
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