日本における近代国民国家の形成と地域創出--北海道開拓と十津川移民についての覚書
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概要
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日本における近代国家の成立の端緒は、明治4・1871年7月の詔書による廃藩置県の実施であり、その企図は、明治22・1889年の市制町村制の成立によって一応達成されたと考えてよいだろう。これによって、日本を構成すべき地域が、ほぼ確定したからである。この過程における最大の問題は、近世の藩領とその下位体系としての地域(旧町村、部落)を、新たに、府県とそれに対応する地域(市・郡・新町村)に再編することであり、具体的には町村合併の成否如何にあったと言える。それによって、藩の解体から国民国家創出へと全体社会(GlobalSociety)が再編される礎石が据えられたからである(注1)。しかし、市制町村制は、この時期に日本政府が領有(或いは領有を主張)する国土の全域で0律に実施された訳ではない。近世以降における統治形態の相違に由来して、北海道と沖縄はその対象とはならなかった。前者では、1級・2級町村制の別など制度上の相違を残しながら明治30・1897年公布、その後の改正を経て明治33~35・1900~1902年に施行され(注2)、後者では、およそ20年遅れの明治41年に漸く市制町村制が施行されている。この事実は、北海道と沖縄が近代国民国家の形成期にあって有していた特異な地位を直接に象徴するものであると考えてよい。本稿は、この内、北海道について、この地域的特性を規定する植民地(注3)としての性格と、そこにおける地域創出の基本的枠組を検討することを意図して書かれたものである。それは、全体社会の再編に伴うその空間構成の契機を確認するための基礎的作業となるものであるが、それには先ず、国策である「拓殖」(注4)の緊急の要請と、それを可能にするための国内移住と開拓の推移を、移民政策と、その具体的事例に即して見ることから始めなければならない。
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