千葉県産Scapharca属(軟体動物)の1種について
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概要
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千葉県九十九里浜で、重要貝類資源の一つであるサトウガイに混じって漁獲される殻長50~60mmのScapharca属の不明種がある。殻の成長脈や厚さから成貝とみられるが、その大きさのサトウガイは若齢貝である。Scapharca属はフネガイ科に属し、日本産として8種の現生種が知られている。千葉県沿岸ではサトウガイ(別名マルサルボウ)をはじめとして、アサガイ、サルボウガイ、タイプ種のクイチガイサルボウの4種が確認されている。この属は、左右の殻の大きさに差があり、左殻がやや大きく、腹縁で右殻を覆うことが特徴とされ、分子系統解析によってもその形質評価は妥当であるとされている。幼貝ではその差異が顕著であるが成長とともに目立たなくなる。現生8種は放射肋上の顆粒の有無および肋数により明確に区別される。この属を亜属に、フネガイ科をリュウキュウサルボウ亜科などに細分することもあり、一般にAnadara類とよばれる階級群は、化石として種類・数量とも中新世以降の浅海層に豊富で、この属は鮮新世に出現する。日本の新生代のAnadara類化石49種および現生種と形態を比較した結果、この不明種は未記載種の可能性がある。
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