イセエビ刺網の漁獲効率と資源管理
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概要
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1)千葉県外房海域で使用されているイセエビ刺網数種の漁獲効率の違いを検討するため、異なる網地や目合を用いて試験操業を行い、漁獲されたイセエビの平均頭胸甲長と網の単位長さあたりの漁獲尾数を比較した。2)目合別に比較したところ、2子撚り網内で漁獲サイズ及び漁獲尾数に、普通網内で漁獲サイズに有意差が見られ、目合によるサイズ選択性の存在が示された。3)網地別に比較したところ、いずれの目合でも有意差は表れなかったが、2子撚り網の小さい目合(2.6寸及び2.8寸)では他の網地より漁獲尾数が多い傾向であった。4)漁獲制限されている頭胸甲長44mm以下が占める割合を算出したところ、網地の種類に関わらず目合の小さい網で、より小型のエビが採捕され、占める割合も多い傾向が示された。5)水揚対象となる頭胸甲長44mmより大きいものについて網ごとの漁獲重量を算出したところ、目合が大きくなった場合の漁獲尾数の減少に対する、漁獲物重量への影響は大きくないものと考えられた。6)撚りの少ない網地と撚りの多い網地の使用感を比較したところ、撚りの少ない網地は漁獲物や夾雑物の取り外しの作業量が少ないが、網の損傷度合いが高くなる傾向が伺われた。一方、従来から用いられている撚りの多い網地は漁獲物の取り外しの作業量は多いが、網の損傷度合いは低く、長期間繰り返し使用できると考えられた。7)イセエビの資源管理を進めるにあたっては、漁獲効率のほかにも作業性や経済性をも考慮した上で漁具を選定する必要があると考えられた。
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