北洋材等廃材の液化と接着剤化
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概要
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富山県では、北洋材の製材に伴う鋸屑やプレーナー屑、また住宅の解体において住宅部材として多用されている北洋材が、廃木材として大量に発生している。これらの廃木材は、雑多な樹種の混合物であり、劣化程度が異なることから、品質が一定しないことが多い。このため、用途に限界がある。そこで、廃木材の利用方法として化学的液化の適用を考えた。しかし、北洋材の化学的液化に関する研究は、ほとんど行われていない。そこで北洋材等の廃木材の液化条件を検討し、さらにこれらの液化物から接着剤の合成を試みた。その結果、第1に、廃木材の液化について、北洋材(カラマツ、エゾマツ、オウシュウアカマツ)、富山県産スギ(タテヤマスギ)、および広葉樹のコナラをフェノールで液化できることを確認した。また本実験では、160℃で1時間加熱することで、木材をほぼ液化することができた。さらに、タテヤマスギのフェノール液化において、フェノールとの重量比が1:1の場合、液化反応は、10分以内にほぼ終了することがわかった。また、ポリエチレングリコール(PEG)(多価アルコール系液化溶媒)を用いても北洋材等を液化できることを確認した。しかし、液化効率はフェノールよりも低かった。第2に、液化木材の接着剤化について、北洋材、スギ材、広葉樹材の樹種によらず、液化した木材からフェノール・ホルムアルデヒド系の接着剤を合成することができた。これらよりJAS構造用合板特類の規格に適合する引張りせん断強さを持つ合板(カバ材)を得ることができた。また、多価アルコール系液化溶媒による木材液化物から、非ホルムアルデヒド系接着剤として、イソシアネート系接着剤を合成し、JAS普通合板三類の規格に適合する引張りせん断強さを持つ合板(カバ材)を得ることができた。
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