A君の活動・学習エネルギーの発見と通常学級での教育<事例研究>
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概要
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LD、ADHDなどの診断名がつくかつかないかにかかわらず発達的な問題をもち、行動面で「落ちつきのなさ」が目立つ、人間関係のトラブルが多いなどの現れのある子どもは、通常学級にも在籍するが、40人学級・一人担任の体制のもとでは十分な個別的対応を行うことは困難である。同時に、個別的対応だけでなく集団全体の発達に目を向けることが不可欠である。本稿では、滝学級33人の児童の一人であるA君の2年生時をみて通常学級での取り組みを検討した。A君は、欲しいものを他児から取り上げる、誤解から他児をたたくなど、周囲の状況や人の気持ちを配慮することがむずかしい。一方サッカークラブでがんばる姿をみせ、家庭との話し合いでは1年生時よりも落ちついてきたことがわかる。それぞれの良さを認め合う学級の価値観づくりを心がけ、劇ではA君の出番をつくるなどしてきた。「問題行動」の中にも強い学習エネルギーをみせるA君であったが、後半、A君にとって難しい課題ではプリントを黒く塗りつぶす行為がみられた。集団の発達と個の発達は相互に関連しつつもA君の学習課題にていねいに応じる取り組みが求められる。通常学級での一人ひとりの子どもの発達を保障する体制づくりが必要である。
著者
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