労働生産性上昇結果の社会的波及と利潤率の長期傾向 : 平石修の拙論検討によせて
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概要
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拙論「利潤率の傾向的低下法則と置塩定理を巡る論議(1999)」は労働生産性上昇が生じた場合資本家的費用原則からすればその際の有機的構成高度化=利潤率低下要因は一定の限度内にあり、また生産手段の価値低下を最終的に考慮すれば利潤率の限界たる生きた労働/死んだ労働の比率は元の利潤率を上回るから利潤率低下の必然性は言えないとのいわゆる「置塩定理」に対し,富塚良三が特別剰余価値の発生時には利潤率は上昇するがその消滅時にその要因は消えさらに商品の価値低下を考慮すればむしろ利潤率は必然的に低下すると批判した主張を村象に、富塚の主張は確かに氏の言う時期には成立するがそれは過度期で最終的には置塩説が成立すると主張し、その中で平石修、松橋透の関連する主張を検討したものである。それに対して平石は「新技術の普及と一般利潤率の傾向的低下法則-神田敏英氏の理論によせて」(2000年9月)と拙論を全面的かつ詳細に検討する一論を発表した。氏の厚意に深く感謝するとともに、その内容は私として答えねばならぬと思う論点を多く含みまたその論議は労働生産性上昇とその波及を考慮した再生産過程と利潤率変動に関する理論の発展に資すると考え、ここに氏の論文を対象とする一文を発表する。氏の提起する論点は多岐に渉るが、I 置塩定理とそれに対する富家説・式を巡る論点, II 新技術成立による部門内及び社会的価値波及の再生産過程把握、III 労働生産性上昇の利潤率要因への影響とその結果としての利潤率長期傾向の把握、の3点に分けて論ずる。
- 2001-09-25
著者
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