1995年農業センサス分析による農家の構造動態分析
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概要
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1 年間150日以上農業に従事した農業就業人口と専業農家のコーホートモデルによる分析から,それまで他産業を主としつつ農業にも従事してきた者が,50歳代後半から農業中心に従事するようになってきた動きが確認された.この動きには地域性があり,北陸,東海,近畿,中国,四国で多く,北海道は特に少ないことが観察された. 2 専兼別・世帯主年齢階層別のコーホート効果付きマルコフモデルによる構造動態分析から,定年後の就農と従来型の継承を推計し,その地域的特徴を観察したが,ここでも北海道と中国地域の特徴的な動きが示された.すなわち,北海道では継承の比率が高く,定年後の就農の比率が低い.中国地域は,その逆であった.予測結果からみると,北海道では,総農家数が2010年には1995年の約40%の減少(78,241戸から47,623戸)と予測された.都府県では,農家数の減少は20~30%と少ないものの高齢化の進展は急速に進むと予測された.例えば中国地域では世帯主65歳以上の農家が,専業農家をみると34,916戸の内,29,029戸と83%を占めると予測された. 3 農業労働力保有状態別・世帯主年齢階層別のコーホート効果付きマルコフモデルによる構造動態分析から,農業継承農家率が最も高い地域は北海道で,都府県に比して極めて高い比率であることが示された.また予測結果から,北海道では「65歳未満男子専従者がいる農家」の比率は大きく変化しないが,都府県では,急速に低下すると予測された. 4 これらの分析から,地域的特徴が明らかとなり,北海道農業が特殊であるにしても,都府県の中で,中国地域がその対極にある動きを示していることが観察された.これは,中国地域では,中山間地域も含めて都市に近接した農村が多く,在宅で安定した兼業従事者が多く,兼業先の定年等を機会に,専業的に農業に参加することが可能な条件にあるためと考えられる.
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農林水産省中国農業試験場 | 論文
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