磁気圏嵐開始時のVLF-LF電波バースト
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
南極昭和基地で観測したVLF放射狭帯域強度(5.0土0.2kHz, 12.0士0.5kHz, 50.0士1.0kHz),地磁気水平成分,リオメーター30MHz の同時記録データを用いて,磁気圏嵐の局所的開始に伴うVLF電波バーストの解析を行った.1973年の6ヵ月間に起こった59個の磁気圏嵐に伴って発生したVLF電波バーストを統計処理した結果,磁気圏嵐の局所的開始から5分間以内に,5kHz, 12kHz, 50kHz の各周波数において,広帯域な電波バーストが頻発していることが明らかになった.このVLF-LF電波バーストに伴うリオメーター30MHzの電離層吸収ぱ小さく,D層まで侵入するような数10keV以上の電子は,VLF-LF電波バーストの発生とあまり関係しないことを示している.磁気圏嵐の局所的開始が,オーロラのbreakupと一致していることからも,10keV以下のオーロラ電子からの広帯域なセレンコフ型放射が,VLF-LFバーストの発生機構と思われる.磁気圏嵐の成長期にはプラズマシートの薄化が起こり,磁気中性シートの西向き電場が強化され磁気圏尾部での内向きプラズマ対流が発達する.プラズマ対流の発達に伴い,プラズマシート内端近くで静電気的プラズマ不安定が発生し,プラズマシート電子はピッチ角拡散によって,磁力線に沿って極光帯へ降下する.このオーロラ電子からのセレンコフ型放射が,磁気圏嵐開始時の広帯域VLF-LF電波バーストを発生すると推測される.VLF放射,地磁気活動,極光現象,電子降下現象のcorrelation dataは,極光帯電離層,磁気圏尾部の物理的機構の解明に重要なもので,今後とも続行すべきものである.
- 国立極地研究所の論文
著者
関連論文
- 南極におけるロケット飛しょう実験報告 : 1970年〜1973年
- 第19次南極地域観測隊夏隊(1977-1978)報告
- 磁気圏嵐開始時のVLF-LF電波バースト
- 夜間の電離層吸収 I.第2-8次南極観測船上短波電界強度測定
- オーロラ観測用レーダ装置および昭和基地におけるレーダオーロラの出現特性
- 電離層観測におけるAuroral E_sとBlackoutについて
- 第3次船上観測の結果報告(電離層部門)
- 第1次南極地域観測隊電離層部門報告
- 昭和基地で受信したISIS衛星によるVLFソーサーのAttenuation Bandと電場