<国立科博専報>伊豆・小笠原諸島のウグイスの分類学の考察
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概要
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伊豆諸島から硫黄列島までに分布するウグイスは, 翼長・尾長が大きく, 嘴が太短く, 背面がオリーブ色に富む本州・伊豆諸島の個体群(cantons)と, 翼長・尾長が小さく, 嘴が細長く, 背面が灰褐色に富む小笠原・硫黄列島の個体群(diphone)とに分けられる。 VAURIEは, 鳥島のウグイスは小笠原諸島のものと同じと考えたが, これは誤りである。鳥島の個体群は本州・伊豆諸島の個体群と同じ特徴を有し, ただ嘴が平均値で長いだけが異なる。但し, 嘴峰の範囲では鳥島と伊豆諸島の個体群の間に大きな違いがなく, 嘴の長さによって鳥島の個体群を伊豆諸島の個体群から分類学的に区別することはできないことが分った。それ故, 本州から鳥島まで1亜種のウグイスが分布していると考えるべきである。地史的にみれば鳥島の成立は恐らく伊豆諸島, 小笠原諸島のどちらよりもずっと新しいに違いなく, したがって鳥島のウグイスの祖先は距離的に一番近い八丈島(あるいは青ケ島)から移住してきたと考えるのが妥当で, 上記の分類学的結論はこの点でも無理がないように思われる。
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