視覚注視と自己評価型学習の機能に基づくブートストラップ学習を通した共同注意の創発(人工知能学会論文誌アブストラクト)
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概要
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本論文では,幼児の共同注意の発達メカニズムを理解するための一アプローチとして,ブートストラップ学習を通した共同注意の創発メカニズムを提案する.ブートストラップ学習とは,学習者が外部からのタスク教示や評価,また環境の制御なしに,自身の生得的な能力に基づいて環境と相互作用することによって新たな能力を創造することを意味する.本論文で提案する共同注意のブートストラップ学習のメカニズムは,ロボットの生得的能力としての視覚注視と自己評価型学習の機能から構成される.視覚注視とは,ロボットの視野内に存在する特徴的な対象物を発見し注視する機能であり,自己評価型学習とは,ロボット自身が視覚注視の成功を判断し,それをトリガとしてセンサ入力とモータ出力間の関係を学習する機能である.ここで,環境中に複数の対象物が存在する場合,学習初期にはロボットは必ずしも養育者が観察している対象物を注視できるとは限らないので,共同注意の成否にかかわらず自己評価型学習によって学習が行われることになる.しかし,環境が制御されておらず,対象物の位置が試行ごとにランダムに変化することから,学習の進展に伴い共同注意が失敗したときの入出力データは統計的な外れ値となり,反対に,共同注意が成功したときの入出力間の関係が失敗時のものに比べ相対的に強化されることによって,ロボットは養育者からのタスク評価なしに共同注意の能力を獲得することが可能となる.また,その学習過程において,ロボットは試行のメカニズムを生得的な機能から徐々に学習によって得られた機能へと移行していくことで,幼児の共同注意の段階的な発達過程が再現されると期待できる.本論文では,提案メカニズムをロボットに実装し実験を行った結果,複数の対象物が存在する環境においても,ロボットはブートストラップ学習を通して養育者からのタスク評価なしに共同注意の能力を獲得可能であることを確認した.また,その学習過程におけるロボットの振舞いが,幼児の共同注意の発達過程と類似していることを指摘し,提案したメカニズムが幼児の発達メカニズムを理解する一助となり得ることを示した.
- 2004-01-01
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