非定型欠神発作の頻発時に一過性の頭頂葉症状を合併した1例
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概要
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頻回の非定型欠神発作を合併した6歳6ヵ月の男児に神経心理学的検討を行い, 一過性の選択的頭頂葉症状を認めた。発作頻発時には脳波上, 2〜2.5Hzの中心頭頂領域優位の広汎性両側同期性鋭徐波複合を頻回に認め, この時期に一致して頭頂葉症状と考えられる視空間知覚障害, 視覚認知障害, 計算力低下を認めた。これらの諸症状は治療による発作減少, 脳波改善とともに著明な改善を示した。鋭徐波複合と皮質障害性症状と空間的(局在)時間的に一致することから, 鋭徐波複合の神経生理学的機序として, 同部の皮質機能の制抑が示唆された。このことは, さらに非定型欠神発作の欠神の機序として, 意識消失ではなく, 広汎な皮質神経機能の一過性抑制が原因ではないかという皮質網様体障害説を支持するものである。
- 1988-10-31