要素性視覚発作を有する後頭葉てんかん : 臨床症状・脳波的検討
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概要
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要素性視覚症状で発作が起始する96症例の臨床症状, 脳波所見, 治療経過を検討した。既知の病因をもつ症例が多く, 精神神経学的所見, CT所見は半数以上の症例で陽性であった。発作症状は視覚, 眼球, 眼瞼に関する発作徴候の他に, 自律神経発作, 意識減損発作, 強直間代発作, また部分運動・感覚発作, 転倒発作が多くの症例で認められ, 後頭葉のみならず他領野に由来する多彩な症状がみられた。発作間欠時脳波には, 発作波が後頭部に限局した症例は25例にすぎず, 後頭部以外にも焦点があった症例は59例, さらに12例では後頭部に発作波がみられなかった。約半数において, 側頭部に発作波焦点が認められた。また焦点性多棘波が36例にみられた。3年以上観察した症例を薬物治療によく反応する群(32例)と抵抗する群(25例)にわけると, 発作予後に関わる要因として神経学的異常, 後頭部以外のてんかん性異常波, 多棘波, 自動症, 部分運動発作, 転倒発作などをあげることができた。
- 1987-04-30