脳磁図の臨床応用に関する文献レビュー (第2報) : 虚血性脳血管障害
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概要
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PETやPerfusion CTのような様々な脳検査法で脳の循環代謝を測定することは, 虚血巣をふくむ領域の脳機能の評価に有用である。しかし, 脳の循環動態は直接的に脳の神経活動を反映しているものではない。容積伝導した神経活動を表す頭皮脳波において, 急性期の脳虚血巣での徐波の出現が知られているが, 空間分解能, 定量性において脳機能の客観的指標とするには問題があった。脳磁図はこの脳波の短所をカバーできるものと期待され, 虚血性脳疾患への臨床応用がなされつつある。しかし, 脳磁図は, てんかん以外の疾患においては科学的エビデンスは明らかでない。本研究では文献検索に基づき虚血性脳疾患の脳磁図臨床研究の動向を調べMEDLINE にて (stroke OR cerebral ischemia) AND (MEG OR magnetoencephalography) を検索2010年7月までで58論文が検索された。この中から原著論文をえらび, エビデンスレベル, 抄録内容に基づいて25論文に絞りこみ現在脳磁図がどのように利用されているかを調べた。さらにエビデンスレベルはグレード2以上の12編について検討してまとめた。総じて虚血脳での脳磁図の変化を報告した文献が多く, 診断・治療方針の決定に関してはエビデンスレベルの高い論文もあるもののごく少数の報告に限られており, 今後の研究に期待しなければならない。しかし, 虚血に伴う脳の障害程度を脳循環代謝以外の方法で明らかにできることは意義深いと考えられる。
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一般社団法人 日本臨床神経生理学会 | 論文
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