Virus性皮膚疾患の電子顕微鏡的研究
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概要
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医学生物学上の研究対象として,各種疾患の原因と考えられるvirusを電子顕微鏡下に見出す事は,既に古くから多数の研究者によって行われている.1938年Kausche等がタバコモザイクvirusの電子顕微鏡写真を発表したのを嚆矢とし,近年に至りPease&Baker及びNewman,Borysko&Swerdlowによる超薄切片作製法の発見と改良により,細胞乃至組織の電子顕微鏡による観察技術の発達は,感染細胞内に於けるvirus粒子の形態,発育様式又感染細胞自体の病理形態学的変化の追及迄行わしめる様になった.然し乍らvirus性皮膚疾患と考えられる疾患のvirus感染細胞組織,就中細胞内virusの電子顕微鏡的観察に関してはBanfield等,Blank等,Gaylord等,松井,笹尾の傳染性軟属腫に就ての報告,Morgan等の單純性疱疹に就ての報告,Bunting等の乳嘴腫に就ての報告があるに過ぎない.我々は今回主として姓年性扁平疣贅,帯狁疱疹の皮疹部の超薄切片を作製し,電子顕微鏡的観察を行い,表皮細胞の形態病理学的変化を検索した.更に青年性扁平疣贅では1例のみであるが,棘細胞核内に結晶様配列を示すvirus様粒子の集団を認め,帯狁疱疹では多数例に於て比較的上層の棘細胞核内,細胞質内及び細胞間腔に明瞭なvirus粒子を散在性に認め得たので・に報告する.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
公益社団法人 日本皮膚科学会 | 論文
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