Acute Graft Versus Host Disease―特に表皮の電顕的変化について―
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概要
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白血病の治療として骨髄移植を施行された後,皮疹の出現を認めた急性graft versus host diseaseの5例を経験し,皮疹部表皮の微細構造を電顕的に検索した.また,その所見の程度と各症例の皮疹出現時から生検時までの期間を比較した.表皮細胞には主として2通りの変性像がみられた.1つは細胞質に空胞形成を伴う暗調細胞で,もう1つは細胞質全体の電子密度が低下する明調細胞であった.前者の空胞はミトコンドリア由来であり,互いに融合拡大し,生検時期の遅いものでは細胞質の輪郭が不明瞭になっていた.一方,後者の電子密度の低下は生検時期の遅いものほど増強し,最終的には細胞質の崩壊に到ると考えられた.細胞質内にはすでに早期の症例からintracytoplasmic desmosomeの形成がみられ,その数はしだいに増加した.この明調細胞の大部分は最終的には崩壊すると考えられた.ときにintracytoplasmic desmosomeを伴い,張原線維が充満し,濃縮した変性表皮細胞が主に生検時期の遅い例に観察された.以上の変性表皮細胞の一部にはリンパ球がしばしば相接して認められた.基底板は常に保たれていた.以上の表皮変性所見は本症に特有であると考えられる.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
公益社団法人 日本皮膚科学会 | 論文
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