本邦における天疱瘡患者のquality of lifeについて(第一報)
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概要
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本邦における天疱瘡患者のquality of life(QOL)の現状を評価する目的で,天疱瘡QOL調査を行なった.天疱瘡に対する治療法の進歩とともに,この疾患の生命予後は著しく改善されたが,依然として多くの患者が長期通院を余儀なくされており,それ故に患者にとっても今後は主観的要素であるQOLの良否が問われて然るべきものと思われる.QOLの調査票の作成にあたっては,1)疾患の特徴を反映したもの,2)患者記入欄は平易にすること,3)医師記入欄を設けることにより,重症度や治療法とQOLの良否の比較・検討に役立ちうるものであること,4)難病共通の主観的QOL評価尺度を盛り込むこと,5)今後の政策医療の動向とも関連した質問項目をもりこむこと,など現時点では不可欠のものを網羅するようつとめた.結果として,天疱瘡患者の日常生活動作の可否(ADL)については概ね良好であり,ADLの制限は天疱瘡の重症度よりも,他の基礎疾患や合併症の有無により支配されるものと考えた.また経済面においては重症例により顕著に,入院・治療費による負担増や休職などによる収入減などの傾向が認められた.なお本症の病態解析および診断・治療法や予後の改善は近年急速に進んでおり,今後これら最新の情報をインターネットを含む種々の方法を用いて患者や担当医に周知たらしめることが重要であると考えられた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
公益社団法人 日本皮膚科学会 | 論文
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