ラット慢性腎障害とその進展を評価できる尿中バイオマーカーの探索
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概要
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近年,ラット急性腎障害に対する尿中バイオマーカーの有用性は数多く報告されているが,慢性腎障害のバイオマーカーに関する報告は非常に少ない。Critical Path Instituteにより設立された安全性予測試験コンソーシアム(Predictive Safety Testing Consortium)から提出された薬剤誘発性急性腎障害に係るバイオマーカー相談(医薬品医療機器総合機構)においても,慢性的な腎障害の評価にあたって急性腎障害のバイオマーカーが有用であるか否か,その検証が求められている。そこで,我々はラットを用いて2種の慢性腎障害モデル(薬剤誘発性腎障害及び部分腎臓摘出モデル)を作製し,これまでに報告されている急性腎障害に対する尿中バイオマーカーの有用性を検証した。薬剤誘発性の慢性腎障害モデルの作製には,単回投与では明らかな腎病変が認められない用量のシスプラチンを使用し,ラットに反復静脈内投与して腎障害を惹起した。また,病態のタイプの異なる慢性腎障害モデルとして,5/6部分腎臓摘出ラットを用いた。それぞれの慢性腎障害モデル動物における各種尿中バイオマーカー候補成分を経時的に測定し,腎臓の病理組織所見との関連性を追究すると共に,従来の血中腎障害バイオマーカー(BUN,血清クレアチニン)の変動との関連性を調べた。その結果,薬物誘発性腎障害モデル,部分腎臓摘出モデル各々に特徴的な尿中バイオマーカー,また,両モデルに共通したバイオマーカーが見出され,ラット急性腎障害の尿中バイオマーカーとされているものの中には,ラット慢性腎障害の評価にも有用なものがあることが明らかとなった。本発表では,これらの結果をまとめて,ラットの慢性腎障害とその進展の評価に叶う尿中バイオマーカーを紹介する。
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